「米国は我々の提案を収容する準備ができていない」 朝鮮外相

朝鮮の李容浩外相が1日未明(現地時間)、第二次朝米首脳会談の朝鮮側代表団宿舎で記者会見を開き、今回の首脳会談が合意に至らずに終わった事に対する朝鮮側の立場を明かした。

李外相は、「我々が要求するのは、全面的な制裁の解除ではなく、いくつかの解除、具体的には、UN制裁決議11件のうち、2016~2017年に採択された5件、その中の民需経済と人民生活に支障を与える項目だけ先に解除する事」と語った。

李外相は「米国がUN制裁の一部、すなわち、民需経済と人民生活に支障を与える項目の制裁を解除すれば、寧辺地区のプルトニウムとウランを含むすべての核物質の生産設備を米国の専門家の立会いの下、両国の技術者らの共同作業で永久的に完全に廃棄するということだ」「これは朝米両国間の現在の信頼レベルから見ると、現段階では、我々が出せる最大限の非核化措置」と強調した。

李外相は「私たちが非核化措置を取っていくうえでより重要な問題は安全担保の問題であるが、米国にはまだ軍事分野の措置をとることが負担になるだろう見て、部分的制裁解除を相応の措置として提案したもの」と説明、「今回の会談では、米国の懸念を軽減するために、核実験と長距離ロケット発射実験を恒久的に停止するという確約も文書の形で与える用意を明らかにした」と述べた。

李外相は「信頼醸成の段階を経れば非核化の過程は、より迅速に進めることができるだろう。 しかし、協議の過程で、米国側は寧辺地区の核施設の廃棄措置のほかに、さらに一つのことをしなければならないと最後まで主張し、したがって、米国は我々の提案を収容する準備ができていないことが明らかになった」と、朝米が合意に至らなかった理由を明かした。

李外相は「現段階では、我々が提案したものよりも良い合意がなされるかは、この場で話すのが難しい。 このような機会さえ再び来るのは難しいかもしれない」としながらも、「我々のこのような原則的立場はいささかも変わらないし、今後、米国側が交渉を再度提起してくる場合でも、我々の案には変わりはないだろう」と強調、ボールが米国側にあることを示唆した。

李外相の発言は、朝鮮側が制裁の「全面解除」を求めたというトランプ大統領の前日記者会見の発言とは異なるものであり、今回の会談では、米国側の準備不足と「国内事情」で、合意文の署名に至らなかったものと見て取れる。

ただ、朝米双方ともに引き続き対話と協議を行うことで一致しており、今回の会談結果が決裂即対決とはならない。

今回の「合意不発」は、長きにわたる対立と相互不信にあった両国関係を解いて「新しい朝米関係」へと向かう過程で起きた一つのハプニングに過ぎない。

 

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。