(転載)世界は変化したが、次期バイデン政権も変化すると期待してはならない

現在、だまされやすい大衆に向けて展開されている大芝居の一つは、バイデン、トランプどちらが実際に最近のアメリカ大統領選挙に勝ったかは、実際重要だということだ。 確かに選挙は、清廉潔白とは、ほど遠いものだったことを示唆する多くの証拠があるが、少なくとも、2000年、ブッシュ・ジュニアが最高裁判所によって任命された例や、おそらく、いくつか、そういう例はある。

バイデンが選挙に勝ったかどうかに関する、あらゆる騒ぎの、少なくとも一つの重要な理由は、アメリカでは選挙が実際重要だという神話の推進に役立つからだ。 選挙は重要ではないのだ。 アメリカは、何十年間も、富豪階級が支配する寡頭政治だ。 寡頭政治の優先事項は、実際わざわざ投票するアメリカ国民大衆のものと違う。 大半の大統領選挙の投票、典型的に対象人口の60%より遥かに少ない。 大統領選挙でない年は更に低い。

アメリカ合州国を一体誰が実際に動かしているかに関する主要な手がかりの一つは予算だ。 豊かな国アメリカは、社会の貧しい人々に役立つ生活保護対策には驚くほどわずかしか使っていない。 理由は簡単だ。 軍隊が、様々な形で連邦年度予算の遥かに大な割合を消費している。

一例だけあげれば、アメリカは、人口がアメリカの約半分の国ロシアが軍に使う金額の11倍使っている。 アメリカは、人口がアメリカの五倍の国、中華人民共和国の年間軍事予算の約三倍使っている。

膨大なアメリカ軍事費は、実際何に使われているのだろう?予算の主要部分は、世界中に散在し、特にロシアと中国国境近くに集中する800以上の軍事基地を支えるために使われている。 ロシア、中国二国合わせた海外基地の合計を数えるのに片手の指で十分だ。

アメリカの二大政党は、ともに、このレベルの軍事費に完全に固執している。 年度軍事予算票決は下院、上院いずれも圧倒多数で通過する。 毎年の予算討論は、反ロシア、反中国言説に満ちている。

アメリカの世論調査は、普通の人々は、常に、予算の大部分が、彼らにとって重要なことに使われるのを好んでいることを示している。 これは他のどの先進国より大きな割合の収入を消費する家計予算の二大項目、基本的医療と教育を含んでいる。 普通の人々のこの願望は、政治家に完全に無視されている。

この理由を確認するのは困難ではない。 大衆の願望が、支配階級の優先事項と(滅多にないが)一致する場合、大衆の願望は支持されるのをアメリカの様々な研究が示している。 だが大半の場合、大衆の願望と優先事項は、支配者の願望と、めったに一致せず、ほぼ例外なく、支配者の優先事項が勝利する。

するとエリートは一体何を望んで圧倒多数投票するのだろう? 答えは驚くほど単純だ。 彼らは国家予算の、より大きな割合を占める軍事費の定期的増加に投票しているのだ。 一般のアメリカ有権者が民主党や共和党や逆に変えても無意味だ。 結果は常に同じだ。

もちろん重要なのは軍事予算総額だけではない。 常に問われるべき重要な疑問は下記だ。 我々は支払った額に見合う見返りを得ているのだろうか? この答えは常に完全にノーだ。 これを測定する多くの方法がある。 重要なのは、膨大な出費と引き換えに、軍事目標を達成しているのかということだ。 アメリカでの答えは、明確にノーだ。

1945年の第二次世界大戦終焉から75年、アメリカは世界のどこかで、ほぼ常時軍事作戦をしてきた。 それも、しばしば複数の戦場で。 アメリカは実際そうした戦争のどれに勝っているのだろう? 1983年のアメリカによるグラナダ侵略を無視すれば皆無だ。

2001年のイラク侵略のように、当初成功したことでさえ、急速に事実上の敗北に転化している。 アメリカは依然イラクに駐留しているが、最初の侵略から19年後、駐留は、軍隊がかろうじて、なんとか出撃できる、極少数の基地に限定されている。 彼らは、2020年1月のイラク議会の要求にもかかわらず、依然駐留している。 オーストラリアも撤退するよう言われたにもかかわらず駐留している。

アメリカは、彼らの大半の行動と同様、違法にシリアに軍事駐留している。 彼らの狙いは、主にシリア政府と戦う反政府派の支援と、シリア石油を盗むことに向けられているように思われる。 この事実に、オーストラリア政府や主流メディアは決して言及しない。

これのいずれも、バイデン/ハリス政権下で変わると期待してはならない。 バイデンは既にロシア、中国両国の政治指導部に軽蔑的発言をしている。 これは、彼が他の行動方法を知らないためでもある。 2008年から16年、オバマ政権で副大統領になるずっと前から、バイデンは軍事タカ派で、彼が、それ以来言ったり、したりしたことのいずれも、現代世界の現状について、彼が何か理解したことを示唆してはいない。

アメリカは、中国が領海の平和的通行通過に干渉した証拠皆無にもかかわらず、十中八九、南シナ海での「航行の自由」運動を続けるだろう。 それは中国が、その製品のための代替経路に大いに投資する大きな理由の一つだ。 これには鉄道経由と、ロシアの北の冷凍した海経由でのヨーロッパ向けにおよぶ。

バイデンは、NATOを、旧ソ連圏東部と南東ヨーロッパの国々に拡張しようとし続けるだろう。 だが彼はロシアとの直接軍事対決の危険はおかすまい。 彼が負けるのは確実だから。 彼らのあらゆる虚勢、大言壮語、いじめ、膨大な軍事費にもかかわらず、単純な事実は、現在アメリカ軍は、ロシア軍より非常に劣っているということだ。

これはアメリカが説明できない、もう一つの居心地の悪い事実だ。 膨大な資金が使われているのに、その報酬はほぼ皆無なのだ。 アメリカは、確実に、弱い国いじめと、むき出しの経済的私欲追求を続けるだろう。 いくら見かけが変わろうとも本質は変わらない! 世界はバイデンが過去副大統領の座にあった時とは違っている。 だが彼やアメリカが、やり方を変えると期待してはならない。

2020年12月29日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook

マスコミに載らない海外記事からの転載、記事原文のurl:http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2021/01/post-6bbf25.html

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。