「ミサイル脅威」捏造するNYT

コリョ・ジャーナル

朝米交渉がここに来て膠着を見せる中、米国強硬派の意を汲んだメディアの「対朝鮮不信煽動キャンペーン」がまたもや始まった。

米日刊紙ニューヨークタイムズ(NYT)は12日(現地時間)、保守系シンクタンクの「報告書」を引用、朝鮮の隠されたミサイル基地が明らかになり、朝鮮が朝米交渉過程で「巨大な詐欺を働いている」と報道した。

NYTは、米情報機関のネットワークで見つかった新しい衛星写真は、朝鮮が16箇所の隠されたミサイル基地で弾道ミサイルの開発を続けていることを示しているとし、記事の根拠として同日、米国の保守シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が発表した「報告書」を引用し、その報告書に公開された5枚の写真のうち、2枚の衛星写真を提示した。

それとともに、その衛星写真で見える建物や峡谷などを根拠に、朝鮮が東倉里ミサイル試験場廃棄を約束しても、他の10数カ所の施設では、従来のミサイルと核ミサイル発射能力を向上させるための開発を継続していると主張した。

NYTが論拠としたCSISも同日、レポートを介して5枚の衛星写真を公開しつつ、黄海北道黄州一帯のミサイル基地が現在稼働中(active)であり、非常によく維持されていると主張、また、黄州ミサイル基地近くの谷間に、確認されていない新しい隠された軍事施設があると主張した。 しかし、その根拠は全く提示しないまま、その衛星写真に多くの場所を宿泊施設、本部、補助設備、入口などを線で表記して、まるで巨大な秘密ミサイル基地が発見されたかのように表示した。

CSISは、この5枚の衛星写真を根拠に、少なくとも13カ所~20カ所までと推定されている申告されていないミサイル基地が確認されたと主張した。 これらの根拠のない主張が、NYTの報道では「新たな16箇所」に化けている。

日付に注目して欲しい。
2018年3月29日となっている。

ところがだ。

NYTが引用したCSIS「報告書」の衛星写真はすべて、民間の衛星メーカーである「デジタルグローブ」が朝米首脳会談開催以前の3月29日に撮影された衛星写真であり、レポートが言及したミサイル基地も、すでに数回のミサイル発射が行われた公開された基地であることが明らかになった。

CSISが根拠として引用したミサイル基地は、黄海北道黄州の朝鮮空軍基地から約5km離れたところにあるミサイル基地で既に以前から知られている地域だ。 朝鮮は2016年9月5日、このミサイル基地で金正恩国務委員長が立会う中、ミサイル3発を東海に向けて試験発射している。

つまりCSISは、すでに知られているミサイル基地を、まるで「新しい、隠された秘密基地」が発見されたかのように主張したわけだ。 そしてNYTは、このCSISの「報告書」を引用し、朝米交渉において朝鮮が「大きな詐欺」を働いているとの捏造報道を行った事になる。

NYTは、「報告書」を発表したビクター・チャの言葉を引用して「基地が中断されなかった。 皆がトランプが(北朝鮮と)悪い交渉を受け入れるのではと心配している」と批判した。

NYT報道の最大の問題点は、根拠のない、否、でっち上げた「報告書」に乗っかって、まるで朝鮮が首脳会談後も非核化と関連した約束を全く履行せず、核開発と核隠匿を追求し続けているかのように印象操作し非難する点だ。 これは確信犯だろう。 極めて悪質かつ、お粗末としか言い様がない。

これは、過去の朝米交渉過程で米国保守シンクタンクが「報告書」という名の証拠もない捏造文書を出せば、これを米国メディアが挙って取り上げて「朝鮮不信」を煽動・助長・拡散させて、朝米交渉を頓挫させてきた典型的なパターンだ。

デマに惑わされず、冷静に見極める必要がある。(Ψ)

 

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。