「ヒゲ」を剃る時

コリョ・ジャーナル

いよいよ、「ヒゲ」の剃り時か。

米軍縮協会(ACA)のカントリーマン理事長は2日(現地時間)VOAの対談番組で、第2次朝米首脳拡大会談にホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のボルトン補佐官が出席した写真を見て、「ボルトンがそこでどんな役割をしたのかは知ることができないが、過去20年以上の経験からすると否定的な役割を果たしたはず。 ボルトンは軍縮合意を破棄した『連続暗殺者(serial assassin)』だ」と言い放ち、「米国が2002年に北朝鮮と結んだ『ジュネーブ合意』を破壊したのもボルトンのアドバイスに従ったものだったという事を、必ず覚えておかなければならない(keep in mind)」と声を強めた。

また、「当時、プルトニウム生産は止まった状態だった。 ボルトンがブッシュ政権に北朝鮮との合意を終えるよう説得した後、北朝鮮は最初の核実験を実施した」と説明、「(今回の)交渉過程でボルトンがビーガン(対朝鮮特別代表)よりも強力な発言権を持ったとすれば、警戒心をもたなければならない」と改めて強調した。

多くの専門家が、ハノイ朝米首脳会談を「不発」へと誘導した主犯としてボルトン氏の名を挙げている。 しかし恐ろしいのは、彼が「証拠」を残しても処罰されないという事実だ。

米保守メディア「ナショナルインタレスト」は4日、「常に舞台の後ろに隠れているボルトンは、お世辞という仮面をかぶっている」「彼は狡猾に、躊躇している大統領をさらに強硬路線にそっと押し込む」と分析、「北朝鮮に対しボルトンは、補佐官就任後に公開的に明かした「リビアモデル」を追求し続けている。 大多数の外交政策専門家たちは、ボルトンが2018年になされたデタントの雰囲気の破壊を試みたと疑った」と指摘した。

また「ボルトンの計画は、北朝鮮に対しても同様に野心的」で、「ほぼ1年前に対朝鮮攻撃の法的妥当性を唱えていた彼は、すでに北朝鮮が抑制されておりその隣人(中国)も弱体化しており、朝米交渉が成功しようが失敗しようが失うものが別にない」と皮肉った。

ワシントンポストも4日、「ボルトンはホワイトハウスの中核参謀陣の辞任の中その地位を強化し、NSCの重要な機能である省庁間の政策調整もほとんど行っていない」と報じ、トランプ大統領が長いレポートを読んだり、専門家と相談することを好まない性質をよく知っているボルトン氏が、各省庁内の様々な意見を大統領に届けず、大統領が聴取しなければならない意見を恣意的に決定し「ものすごい権力」を持つようになったと分析した。

時事専門誌アトランティックは、「ボルトンは北朝鮮をマイク・ポンペオ長官に渡したように見えた。 しかし、それは戦術的な屈服であるだけ」と分析、ボルトン氏の元側近の言葉として「彼は出来得る限り、北朝鮮との交渉を失敗させようとする」と伝えた。

元側近は、「トランプ大統領が何かを言えばボルトンは同意すると言った後、トランプの言葉とは真逆に再解釈し、あたかもそれがトランプの承認を得たものであるかのように圧迫する」と指摘、「いつかはボルトンとトランプの差が大きくなって、ボルトンが切られるかもしれない」が「 他の可能性として、ボルトンがトランプの計画を『成功的に修正』することもあり得る」と展望した。

要は、政府内でボルトン氏が都合のいい情報だけを大統領に提供し、承認を得たかのように勝手に振舞う構造が出来ているということだ。 ビーガン特別代表を押しのけて拡大会談のテーブルに着いたのは正にその証左ではないだろうか。 現状況は朝米交渉にはマイナスでありトランプ大統領とっても非常に危うい。

「ヒゲの壊し屋」、一角では「ディープ・ステートの影の大統領」と呼ばれるに至ったらしい。

果たして大統領は「ヒゲ」を剃ることができるだろうか。(Ψ)

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。