M.K通信 (74)6.25 70年 超大国と闘う自主の気概と米国に追従する奴隷の優越感

アジア大陸への玄関口、関門に位置している朝鮮半島。 世界制覇を狙う帝国が唱える地政学的見地から見て、朝鮮半島を支配下に置こうとする米国の野心はシャーマン号を朝鮮に侵入させたときから変わらない。

日帝敗北直後に朝鮮半島の南半部に兵を進め軍政を布き大韓民国を成立させ軍事保護領にしたのも、70年前の6月25日、戦争を挑発して北半部も支配下に置こうとしたのもこのためだ。

核抑止力は戦略的選択

朝鮮戦争は、1948年朝鮮半島の北半部に建国した朝鮮民主主義人民共和国との戦争だ。 米軍の指揮下で大韓民国軍も参戦したが、本質はこの地の主人である朝鮮民族と侵略者米国との戦争であった。 この戦争が朝米戦争であったことは、3年後の休戦協定に朝鮮民主主義人民共和国軍代表とアメリカ合衆国軍代表がサインした事実をみれば明白だ。

国連軍司令官の名前で休戦協定にサインしたクラークは、1954年に出版した回顧録で「私は米国の歴史上はじめて勝利できなかった状態で休戦協定に署名した初の米軍司令官になったという恥ずべき履歴を持つことになった。 私は敗北感にさいなまれた。 正直に言って協定調印後形容しがたい挫折感に襲われた」と告白している。

クラークの告白は朝鮮戦争の性格を浮き彫りにしている。

敗北感にさいなまれた原因は半島の北半部を支配下に置くという目的を達成することができなかったためだ。 反対に建国間もない国家を守った朝鮮にとっては米国の不敗神話を粉々に砕いた偉大な勝利であった。

米国は休戦後、不安定な休戦を強固な平和協定に変えるとの約束を守らず、70年に渡り冷たい戦争を強要し、ありとあらゆる手段で朝鮮を侵略するために敵対政策を続けてきた。

朝鮮外務省軍縮および平和研究所は、朝鮮戦争勃発70年に際して、「米国の対朝鮮敵対視政策の撤回は朝鮮半島の平和と安全のための必須不可欠の先決条件」という研究報告書を発表した。

研究報告書は、米国の対朝鮮敵対視政策を告発、非難し、米国の核戦争政策からみて「第2の6.25が再現しないという担保はどこにもない」ないとし、「米国によってこの地で残酷な戦乱を強要されたわが人民にとって国家防衛のための、強力で威力ある戦争抑止力は必須不可欠の戦略的選択になった」と指摘した。

米国の核の脅威に対抗して、朝鮮がICBMと水爆を備えた強力な核抑止力を開発して「国家核戦力を完成」させたことは周知の事実だ。 米国の核戦力に対抗して、米国を攻撃できる核戦力を持つのは、中露に朝鮮しかない。

6.25から70年、朝鮮は強力な核抑止力を備えた戦略国家に浮上した。 誰も否定できない現実だ。 研究報告書は「世界最大の核保有国で唯一の核兵器使用国である米国が、われわれに対する病的で体質的な敵対視政策にしがみつき極端な核恐喝を事にしている条件で、われわれは米国が加える持続的な核の脅威を制圧するために、われわれの力を育てるであろうし、われわれが選択したこの道から絶対に後退することはない」と、超大国と真正面から闘う変わりない気概を示した。

米国にひれ伏す卑屈な文在寅政権

朝鮮民族に消えることがない傷跡を残した6.25から70年、北側、朝鮮が見せた姿は、南側、韓国が見せた姿と好対照をなした。

文在寅大統領は6月25日に行った記念辞で、「偉大な韓米同盟」「強固な韓米同盟」を強調し、「南北間の体制競争」というフレーズを持ち出し、北側との対決姿勢を鮮明にした。

「同盟」とは聞こえがいいが、米国と韓国が同等の関係にあるわけではなく、実体は支配と隷属の関係に過ぎない。 韓国の大統領が韓国軍に対する作戦指揮権を持っていないことは、韓米関係の実態を端的に示している。 このためか文大統領は、戦時作戦権の返還を準備していると述べているが茶番だ。

自国軍の作戦指揮権を外国に握られている独立国は世界に存在しない。 韓国では、米軍が握る作戦権の返還は、韓米連合軍を発足させ連合軍司令官を韓国軍から出す方法で模索されてきた。 現在、平時の作戦権は返還され、残るは戦時だけだとされている。 有事のためにある軍に対する作戦指揮を平時と有事に分けるということだが、その是非はここでは問わない。

作戦指揮権返還と言われるものが茶番に過ぎないというのは、韓米連合軍司令官を韓国軍から出し、連合軍の駐韓米軍をも韓国軍が指揮するという前提に立っているためだ。 つまり米国大統領が統帥権をもつ米軍を韓国が指揮することになっている。 ありえないことだ。 米国大統領が持つ軍事統帥権を、駐韓米軍とは言え韓国大統領が行使できると考えているなら、文在寅大統領は底なしの愚かさの持ち主か、さもなければ主権の不在を非難する対国民向けパフォーマンスに過ぎない。

作戦指揮権に対する議論にもかかわらず、韓国の安全保障を米国に頼る、対米依存、事大主義は70年前と変わらない。 隷属的な同盟を「偉大な同盟」と美化し「同盟は永遠」とのたまっていることが証明している。

6.25から70年、北側は米国との熱戦と冷戦を経る過程で、米本土に対する核攻撃可能な抑止力を備えた戦略国家に浮上したのに比べ、南側は米軍軍事占領下で作られた軍事保護領としての大韓民国の実態から何も変わっていない。 また、現文在寅政権からは、変わろうとする気力も見受けられないばかりか、米国頼りの、米国にひれ伏す事大主義しか伝わってこない。

にもかかわらず、文在寅大統領は朝米の戦いで一貫した過程を「南北の体制競争」に矮小化して「勝った」と胸を張った。 軽薄な論理で、米国支配下で飼いならされた卑屈さがこもった奴隷の優越感というのが妥当だろう。

首脳会談合意も米国の承認なしに実行できない文在寅政権を相手にする意味はない。 ましてや文在寅政権が、朝鮮の一方的非核化、武装解除を狙うトランプ政権の先兵の役割を担うなら反撃を避けられない。 北南共同連絡事務所爆破は、朝鮮の武装解除を策す米韓の敵対行為に対する報復だ。

朝鮮は外務省軍縮および平和研究所が発表した研究報告が指摘しているように、核抑止力を一層強化し米国の敵対政策に備えるだろう。 米国が敵視政策を転換しない限り、朝鮮の武装解除を目的にした関与の試みは失敗を免れない。(M.K

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。