朝鮮の行動に「自制と対話継続」示す米国

朝鮮の動きに米国が振り回されている。

朝鮮は4日、朝鮮東海上で東部前線防御部隊の火力打撃訓練を実施、金正恩国務委員長がこれを指導した。

訓練は最前線・東部前線防御部隊の大口径長距離ロケット砲、戦術誘導兵器運用能力と火力任務遂行正確性、武装装備の戦闘的性能を判定、検閲し、戦闘動員準備を整えることを目的に行われたのだが、あくまでも通常訓練の一環に過ぎない。

朝鮮中央通信などのメディアは、火力攻撃訓練の写真など20枚以上を公開している。

これに対し米国は、従来のように「北朝鮮の挑発」云々とし対立を煽るのかと思いきや、以外にも自制の姿勢を見せている。

まず、トランプ大統領は4日(現地時間)自身のTwitterで「金正恩委員長は、私が彼と一緒にやることを知っているし、私との約束を破りたがらず、『ディール』は行われるだろう」と主張、朝米対話を継続したいという意志を示した。

ポンペオ国務長官も、FOXニュース、ABC放送、CBSなどに出演し、朝鮮との交渉を続ける意志を表明している。 この間の発言をまとめると「どの程度まで飛んで行ったとは言わないが、短距離で複数発発射された」「中距離ミサイルや長距離ミサイル、大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではないという高い確信を持っている 」「我々は、それが比較的短い距離であり、ICBMではないことを知っている」という内容だ。

また「どの瞬間にも国境を越えなかった。 米国や韓国、日本に脅威を与えていない」と強調、 「我々はまだ、北朝鮮が非核化の良い解決策を交渉するすべての意思を持っている」とも述べた。

すなわち、米国は朝鮮が軍事行動を見せても対話継続の意思を示している。 以前ではあり得ない現象だ。

言い換えれば、朝鮮の「国家核武力完成」によって米国本土が朝鮮の打撃圏内に入り、米国は朝鮮に攻撃を仕掛けられないということを理解しているということだ。 また、これ以上事を荒立てたくないという雰囲気も読み取れる。

過去に米国は、朝鮮が発射したのが「短距離」だろうがICBMだろうがお構いなしに「対北朝鮮制裁」を加えてきた。 しかし、ポムペオ長官はCBSとのインタビューで、「追加制裁が必要な状況なのか」という質問に「変化はない」と答えた。 これは、朝米交渉が膠着している中で、米国が新たな対朝鮮制裁を加えればどのような状況が起こるか判らないため朝鮮を刺激したくないという本音の表れだろう。

ましてや米国は1日(現地時間)、「ミニットマン3」の試験発射をしている。 朝鮮の今回の火力打撃訓練はそれに対応したものとも推測できる。

数日の間に朝米両国が同様の軍事的行動を取ったのだが、朝鮮にのみ制裁を加える状況が起きた場合、「対朝鮮制裁」の不当性がより明らかにされるだけでなく、「制裁」を解除、緩和する必要があるという国際的世論が一層高まるだろう。 米国としてはそれは避けたい。

今回の朝鮮の火力打撃訓練をとおして、米国は強硬策も追加制裁もできないということが図らずも明らかになった。

米国は朝鮮の言う「新しい計算法」を早く用意して早急に対話に臨むべきだろう。

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。