M.K通信 (81)人民大衆第一主義と優れた医療・防疫体制がもたらした「感染者0」の奇跡

新型コロナウィルスが全世界で再度広がり猛威を振るっている。

完璧な封鎖障壁の構築を

朝鮮ではこれに対処し、朝鮮労働党政治局拡大会議を開き国家非常防疫システムをさらに補強することに関する問題を討議した(11.15)。 会議で金正恩委員長は、国家の安全と人民の安泰に対して担った責任の重大さを自覚して超緊張状態を引き続き堅持し、完璧な封鎖障壁を構築して非常防疫戦をより強力に繰り広げていくことについて強調した。

朝鮮では現在まで新型コロナウィルスの流入を遮断して安定的防疫形勢を維持、一人の感染者も出していないが、政治局会議を開き、長引く防疫事業で起こりえる気の緩みを再度引き締めた形。

「労働新聞」(11.22)は政治局会議を受け次のように指摘した。

「世界的な悪性ウィルス伝播状況がさらに深刻になっている。 全地球を襲う悪性ウィルス感染症の急速な伝播による一日の感染者と死亡者が想像を超越する爆発的な数字を記録しており、人々の不安や懸念は日増しに増大している。 世界的な保健危機が悪化し続けている状況に備えて、完璧な封鎖障壁を構築していくことは、非常防疫戦の強度をより高めていくうえで重大な問題である」

さらに同紙は、完璧な封鎖障壁を構築していくうえでの課題として、自惚れや油断、無責任な姿勢、緩慢性を警戒し防疫事業で主導権を握ることを提示し、「精神力での破孔がすぐに封鎖障壁の破孔をもたらすということをいつも心に留めて超緊張状態を恒常的に維持していかなければならない」と強調した。

「感染事例は0件」

 新型コロナウィルスが流行しだした当初から、世界を第2波、3波のパンデミックが席巻している今日の至るまで、朝鮮が安定的な防疫形勢を維持し、感染者を一人も出していないことは驚異的なことである。

WHOは11月初旬に発刊した報告書で、11月5日まで朝鮮で報告された新型コロナの「感染事例は0件」であると指摘している。 また、10月29日までにPCR検査を受けたのは1万2072人、隔離中の人は897人、隔離が解除されたのは、外国人382人を含む3万2182人と、WHOに報告されている。

朝鮮の敵対勢力は、「感染事例は0件」という奇跡のような結果を根拠を示せないまま否定すことに躍起になっているばかりか、偽情報を流し続けている。 また、少なからぬ識者の間で疑問を持つ人々がいるのも事実であろう。 前者はともかく、後者の場合は、朝鮮の徹底した非常防疫についての理解不足が原因ではないかと考えられる。 日本のマスコミは前者のように偽情報だけを取り扱い、非常防疫についてはほとんど報道しないことが大きく影響しているとみられる。

去る10月10日午前0時からピョンヤンで朝鮮労働党創建75周年記念行事が盛大に行われたことは周知の事実。 朝鮮人民軍部隊による閲兵式、ピョンヤン市民の群衆デモ、青年学生による松明行進、祝砲夜会等々の大規模行事に加え、光の祭典に芸術公園などの参加者に、観覧者まで含めれば数十万人の市民が参加した。 多くの市民が集団的に参加した祭典は、コロナ感染症が広がっている状態では開催すること自体がとても無理であったことは想像に難くない。

「人民の命を守る」ための優先課題

新型コロナウィルスが世界的に流行しだした時から現在まで、朝鮮が安定的防疫形勢を維持しているのは、流行初期にいち早く国境を封鎖しウィルスの流入を防ぐとともに、防疫を「人民の命を守る」ための優先課題と位置づけ、強力な国家非常防疫体制を発足させ、最も効果的な方法で、感染症を防ぐ国家的取り組みを強力に展開してきたためだ。

朝鮮は当初から、ワクチンもなく、治療方法もないばかりか、感染速度が速い新型コロナウィルス感染症の流入を許せば大きな災いをもたらすとの強い危機意識を表明し、党と国家の最優先課題である人民の生命財産を守るために国内感染を防がなければならないとの認識を示した。

この認識に基づき、朝鮮が国家非常防疫委員会を中央と道、市、郡に発足させたのは1月24日のことで、1月末には国境を封鎖したのは周知の事実。

国家非常防疫委員会の主導で朝鮮は、感染初期に昨年12月までにさかのぼり、入国者と2次感染が疑われる人を隔離し、3月末までにコロナウィルスが流入しておらず感染者がいないことを確認している。

これを境に朝鮮の防疫は、感染者0の安定的な防疫形勢を維持することに力が注がれたのは当然であった。

朝鮮では非常防疫委員会の権限を強化し、いかなる「特殊」、「特権」も排除し、防疫をすべてに優先させる規律を設ける一方、外部からのウィルス流入を防ぐために引き続き国境を封鎖し、輸入物資に対しても、10日間放置後、消毒の上搬入するなどの規定を設けるなど、様々な措置を講じた。

優れた医療・検疫制度

このような措置とともに、国内でウィルス感染が疑われる人に対する隔離、医学的監視、検査、治療が並行して行われた。

隔離、医学的監視の対象になる人は、発熱し、風邪、インフルエンザ、呼吸器疾患、肺炎などの症状を見せており、コロナ感染症が疑われる人々である。

朝鮮の医療は予防医療を理念にしており、中央から道、市、郡、里の末端にいたるまで整えられた人民病院と診療所の医療スタッフによる地域担当制による戸別訪問が常時行われている。 また防疫組織も中央から末端に至るまで整備されており、検疫スタッフは医療スタッフとともにに地域でフル回転している。 風邪やインフルエンザ、呼吸器疾患などの患者は、地域で戸別訪問しながら検診、検病する医療・検疫スタッフによって拾い上げられ、発熱とともに隔離、医学的監視の対象になる。

発熱とともに医師の判断で隔離するのは、もしコロナ感染症に侵されていた場合でも、西側でみられるように、患者が病状が悪化するまで街を歩き回りウィルスをまき散らすことを防ぐことができる。

医師が地域を担当し戸別訪問を通じて健康状態を把握する朝鮮独特の予防医療は、住民の健康を守るとともに、患者を発熱初期に医学的監視下に置くことが容易で、防疫においても極めて効果的で優れた制度であることがわかる。 この制度があって朝鮮では全国津々浦々で感染症患者が発生した場合でも瞬時に把握し対策を講じることができる。 付け加えれば、隔離対象者には公的に食料、日用品が保証され、もちろん休んだからと言って職場を失う恐れもなく、隔離に抵抗する理由はない。

このように、朝鮮がコロナ感染症の世界的な大流行にも関わらず、一年近くに渡り感染者0を維持しているのは、防疫を「人民大衆第一主義」に基づき「人民の命を守る」事業と位置づけ、強力な非常防疫を展開したためで、強力な非常防疫は朝鮮の先進的で優れた、医療・防疫体制によって裏打ちされている。

米国は防疫・医療の超後進国 

米国と韓日、西側の敵対勢力は、「脆弱な医療」を云々しながら、朝鮮の非常防疫を中傷している。

米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)は17日、「北は保健・医療施設が整っていないため、伝染病が広がれば対処が難しい」と述べた、元政府当局者のコメントを引用しながら、朝鮮に感染者がいないとは考えられないと報じた。

現実を無視したおとぎ話と言わざるを得ない。 元政府当局者のコメントの「北は」の部分を「米国は」と言い換えるべきではないか。 米国で1千万人以上が感染し、25万人もの死者を出しているのが目の前の現実だ。 世界トップクラスの先進医療を喧伝する米国は、実はコロナ感染症の前でなす術もなく死体の山を積んでいる、防疫・医療の超後進国であることを示している。

西側諸国も同様だ。 日本を含めて、感染症の第2波、3波に襲われ医療崩壊が懸念され、経済活動の縮小に追い込まれているのが現状だ。

自国の惨状を棚に上げて他国を根拠いなく非難する状況にないはずだ。 自国を襲う2波、3波に右往左往している分際で他国の防疫を中傷する、その病的な異常さにはただただ呆れるばかりだ。(M.K

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。