朝鮮の要求は「相互不干渉・不可侵」、「体制保障」はミスリード

来る朝米首脳会談で朝鮮がアメリカに対し「体制保障」を求めていると言われているが、果たしてそうだろうか?

過去にカーター元大統領、クリントン元大統領の訪朝を仲介し、現在ではアメリカの主要政策決定権者にアドバイスを求められる在米の朝鮮問題専門家であるパク・ハンシク コロンビア大学名誉教授は、韓国のラジオ番組に28日出演し、このような問いに対し「アメリカがどのように朝鮮の国家体制を保障出来るのか」と切り捨てた。

パク名誉教授は「(朝鮮の体制は)アメリカが保障するようなものではない。 それは猫の前に生魚を持って行って守ってくれと頼むようなもの、(アメリカは)我々が安保を保障してやるとよく言うが、朝鮮には受け入れられない概念だ」と一蹴した。

朝鮮は、トランプ大統領やポンペオ国務長官の言う「韓国のように繁栄させてあげよう」と言う表現を、朝鮮の社会主義体制を資本主義体制に転換すると言う意味で捉えている。「韓国よりも少し、いや断然貧しい韓国になれ、それを朝鮮が受け入れるわけがない」とパク名誉教授は指摘した。

パク氏は、朝鮮が望むものはアメリカの言う韓国式の経済発展ではなく、仮に韓国式を求めれば、東ドイツが西ドイツに吸収されたように朝鮮も韓国に吸収されてしまうだろうし、朝鮮がそれを望むのであれば、とうの昔にやっているだろうとも語った。

朝鮮が求めるものは韓国式でも中国式でもなく、朝鮮式社会主義、いわゆる「ウリ式発展」であり、その「ウリ式社会主義」を実現するにあたって、アメリカに手伝う用意があるのかを朝鮮は問うているのであり、アメリカにはその意思も方法もないだろうとパク氏は分析した。

パク氏は「朝鮮が求めるのは体制保障ではない。 経済成長を求めるのは当然だ。 そのためには状況が安定しなければならないし、平和な社会環境でなければならないし、国交関係を円滑に出来るよう体制安全が保障されなければならない。」と指摘した。 朝鮮が求めるものはあくまでも社会主義経済発展のための安全の保障であり、体制保障とは概念が違うと言うことだ。

喧伝されている「体制保障」という用語自体が正確なものではなく、朝鮮の主張は「敵対関係の清算」と「相互不干渉・不可侵」であり「アメリカが好き勝手やっても体制だけは保障してくれ」と言う性質ものではない。

事実、朝鮮は27日付けの労働新聞論評で「我々があたかも米国から経済的支援を得たくて会談に臨んだように世論をミスリードし、拡大している条件下で、全ての事実を明らかにせざるを得ない。 朝米会談を先に求めたのは我々ではなく米国」、「我々は他人の手を借りて経済建設をしようとはこれっぽっちも思わない」と強調している。

「体制保障」と「安全保障」の意味するところの違いを、読み間違えてはならないだろう。(Ψ)

 

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。